「ひと晩寝かせたカレーは美味しい。」と言われますが、食中毒などの心配はないのか不安になりますよね。
カレーを常温保存できる目安は、夏場なら5~6時間、冬場なら1日ほどでしょう。
夏場は常温保存で2~3時間くらいしかもたないという意見もあり、夏場にひと晩常温で保存するのは危険が伴いますので、避けるようにしましょう。
5~6時間以上カレーを常温に置くことになりそうなときは、粗熱を取ってから冷蔵保存または冷凍保存が安心です。
その際、プラスチック製の保存容器などに移す方もいるかと思いますが、落ちにくい油汚れや匂い移りが気になる方は、ガラス製の容器がおすすめです。
カレーは常温放置で何時間持つ?夏と冬で日持ちは変わる?
カレーを常温保存できる目安は、夏場なら5~6時間、冬場なら1日ほどでしょう。
常温保存で何時間くらい持つかは、気温や湿度によって異なります。
夏場の場合
夏場は、たとえクーラーをつけて涼しくしても、湿度も高いので、長くても半日程しかもちません。
夏場にひと晩鍋のまま常温で保存するのは、危険が伴いますので避けるようにしましょう。
夏場は常温保存で、2~3時間くらいしかもたないという意見もありますので、保存したカレーを食べる前には、見た目や臭いなどよく確認してから自己責任で食べてください。
冬場の場合
腐るか腐らないかの差は、夏と冬の温度と湿度の違いですので、冬だからと安心するのは禁物です。
キッチンの日当たりが良い場所に置いたり、小春日和の暖かい日だったりすると、気温も高くなりますので、冬でも常温保存する時には注意が必要です。
多めに作って何日か食べたいところですが、常温保存の場合は、冬でも翌日までが目安となりますので、翌日には食べ切れるくらいの量を作るのがベストと言えるでしょう。
食べきれない量のカレーを作った時には、粗熱を取ってから、冷蔵保存または冷凍保存をするようにしましょう。
カレーをひと晩常温で寝かせるのは危険?
ひと晩、常温で寝かせたカレーは美味しいけれど、危険がいっぱいです。
カレーは食中毒になりやすい料理のワースト3に入るほど、菌が繁殖しやすいのです。
その理由をまとめました。
ウェルシュ菌の繁殖
ひと晩寝かせたカレーは、細菌が繁殖しやすいので大変危険です。
最も繁殖しやすいものは、ウェルシュ菌と言われる菌で、人や動物の腸内、特に牛や鶏、魚が保菌していることが多いと言われています。
さらに土の中にも生息しているので、じゃがいも、人参、玉ねぎなどの根菜類に付着していることもあります。
つまりカレーは、ウェルシュ菌を含みやすい具材を使用している料理と言えます。
「細菌は熱に弱いから加熱調理すれば心配ない。」とよく言われます。
ウェルシュ菌も、本来熱に弱い菌ですが、芽胞を形成して休眠状態になって生き延び、ウェルシュ菌が好む室温(20~50℃程度)くらいに鍋の中の温度が下がると発芽します。
発芽すると菌が目覚めて増殖します。
芽胞は熱にも強く100℃の高温にも耐えることができると言われているため、食べる前に再加熱しても殺菌できません。
コンロの上に置いたままは危険
食べて余ったカレーをコンロの上に置いておくことは、よくあることだと思いますが、実はこの行為は菌が繁殖する原因になり、大変危険なのです。
カレーの鍋をそのまま置いておくことで、鍋の中の温度は徐々に下がり、菌が繁殖しやすい温度(20~50℃程度)になります。
鍋の蓋をしたまま常温保存すると、酸素がないところが好きなウェルシュ菌はどんどん増殖します。
粗熱を取ったら、蓋をしっかりせずに少し開けておくとよいでしょう。
また、保存している時や温めている時に鍋底から大きくかき混ぜて空気に触れさせると、菌の増殖を抑えられます。
余ることが分かっている場合は、粗熱を取って作ってから2時間以内に冷蔵保存か冷凍保存することで、ウェルシュ菌が増えるのを防ぐことができます。
「ひと晩寝かせたカレーは美味しい」と言われる理由
なぜ作りたてのカレーよりひと晩寝かせたカレーの方が、美味しく感じられるかについてまとめました。
コクが出る
具材に含まれるタンパク質・糖質・アミノ酸などが絡み合うことで、コクの元の旨味や甘みの成分がソースに溶けだし、引き出されます。
熟成が進む
冷やしてから温める過程で、ブイヨンが具材に染み込み、旨味成分が混ざり合って熟成が進みます。
スパイスが調和する
カレーのスパイスが加熱されることで、とげとげしさが少なくなり、調和して深みのある香りと風味になります。
傷んだカレーの見分け方は?
傷んだカレーの特徴は、
- 白い斑点や膜がある
- 水っぽくなっている
- 酸っぱいような異臭や味がする
などがあります。
それぞれ詳しく見ていきます。
白い斑点や膜がある
白や緑色の斑点があったり、膜が張ったりしている場合は、カビの可能性が大きく、取り除いて再加熱しても食べることはできません。
水っぽくなっている
トロトロのカレーが水っぽくなる、泡が立つ、サラサラだったカレーがネバネバするなどしていても腐っている場合が多いです。
酸っぱいような異臭や味がする
いつものカレーと違う臭いや味、酸っぱい、生臭い、カビ臭い、チーズのような味、納豆のような味、舌がしびれるなどは腐っているサインです。
この他にもいつもと違うと感じたら、食べるのを止めて処分しましょう。
私は以前、ひと晩常温で寝かせたカレーを翌朝見てみた所、いつものカレーの色より濃い茶色をしていたので、「あれっ。」と思い、上の方をスプーンですくってみると、その下はいつものカレーの色でした。
食中毒になっては大変と思い、美味しいカレーを食べられることを期待していたのですが、あきらめて処分しました。
それからは同じ失敗はしたくないので、別容器に移し替えて冷蔵保存または冷凍保存しています。
カレーは弁当に詰めて持っていける?
カレーは、工夫次第でお弁当に詰めて持っていくことができます。
カレーをお弁当に入れて持ち歩くのが不安になる要因は大きく分けて、
- 食中毒が心配
- お弁当箱からルーが漏れる
- お弁当箱へ色移りする
が考えられると思います。
この3つの視点から対策を考えてみます。
カレールーのまま、いつものお弁当箱に入れて持ち歩く方法もありますので、参考にしてください。
カレーでの食中毒の予防・対策
・前日にカレーを作ったら、カレーの中心部までしっかり冷やし、小さな容器に小分けして冷蔵庫保存します。
・朝再加熱する時には、グツグツと煮立つまで火入れをします。
・ウェルシュ菌は、20~50℃の間が増殖しやすいので、お弁当がその温度にならないように、冷蔵庫に入れたり、保冷バックや保冷剤を使って低温を保つようにします。
お弁当箱からのルー漏れを防ぐ対策
ルーが漏れるのを防ぐ方法はいくつかあるのでご紹介します。
ラップでご飯とカレーを包む
・空のお弁当箱にラップを被せ、溝を作ってからご飯とカレーを入れます。
上からラップをかぶせて上下のラップを重ね、カレーがはみ出さないようにして蓋を閉めます。
・上記の方法でご飯とカレーを逆に詰めることで、より漏れにくくなります。
ラップをお弁当箱に敷くことで、お弁当箱にも色が付かないので、色移り防止にもなります。
カレーをご飯でサンドする
お弁当箱にご飯、カレー、ご飯の順に詰めてサンドします。
さらにゴマを振ったり、副菜をのせたりするのもよいでしょう。
カレーを挟むことで容器や蓋にルーが付きにくいので、食べやすいだけでなく色や臭い移りもしづらいです。
オムカレーにする
お弁当箱の半分のスペースに薄焼き卵を広げ、その上にカレーを入れ、卵を折り畳んで包みます。
残り半分のスペースには、ご飯を詰めます。
最初にお弁当箱にラップをかぶせれば、色移り対策にもなります。
お弁当でも漏れにくいカレーレシピにする
キーマカレー、ドライカレー、カレーピラフなどのレシピにすると、カレールーの漏れの不安もなくなり、カレー味を楽しめます。
カレーが漏れにくいお弁当箱を使用する
保温ジャー、スープジャー、密閉保存容器などに入れると、カレーが漏れる心配は少なくなります。
ただ、蓋のパッキン部分に臭いが付きやすいので、使用後はしっかり洗いましょう。
お弁当箱への色移りを防ぐ対策
➀ラップを敷く
上記のルー漏れ対策でも使用しましたが、ラップを敷くことで、直接お弁当箱にルーが付くことが少なくなります。
②お弁当箱の内側にオリーブオイルを塗る
カレールーは油を多く含んでいて、お弁当箱などの素材にある細かな凹凸にこびり付きやすいです。
オリーブオイルを塗っておくことで、この凹凸にオリーブオイルが張り付き、表面を保護してくれます。
③お弁当箱の材質をガラス製にする
ガラス容器は、直接味や臭いが移ることがないので、お弁当箱をガラス製にすることで、臭いや色移りの心配がなくなります。
まとめ
カレーは常温放置で5時間からひと晩くらいは大丈夫か、夏と冬で日持ちは変わるかなどについてお伝えしました。
カレーを常温保存できる目安は、夏場なら5~6時間、冬場なら1日ほど。
夏場にひと晩常温で保存するのは、危険が伴います。
常温保存で何時間くらい持つかは、気温や湿度によって異なります。
早い場合は、夏場で2~3時間で傷んでしまうこともあります。
カレーは、誰もが好む料理と言っても過言ではないでしょう。
ひと晩寝かせることで味にコクが出ますが、保存方法によっては、菌も驚くほどの速さで増殖してしまいます。
みんなが大好きなカレーを、美味しく安心して食べられるようにこの記事を役立ててもらえたらうれしいです。
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