人参はオレンジ色が鮮やかで、料理を彩ってくれたり、いろいろな料理で活躍してくれたりする野菜ですので、冷蔵庫に常備している方も多いと思います。
しかし、使うタイミングがなく、そのままにしていて、使おうとしたら黒く変色してしまったということもあります。
人参に表面に見られる黒い斑点や線は
- 人参に含まれるポリフェノールの酸化
- 軟腐病
- カビ
などが原因と考えられます。
軟腐病やカビが原因で黒い斑点が発症した人参は、柔らかかったり異臭がしたりしますが、ポリフェノールの酸化で変色した人参は、基本的に見た目以外の感触や匂いに異常はないので、その点が見分け方のポイントになります。
ポリフェノールの酸化が原因の場合は、固くて臭いや感触などで特に変わった様子が見られなければ、その箇所の皮を厚めに剥けば食べても問題ないとされています。
また、人参を切った際に中が黒いときがありますが、その場合も匂いや感触に異変がなければポリフェノールの変色が原因と思われるので、その部分さえ取り除けば食べられるでしょう。
それでは、人参の黒い斑点や線はカビなのかそれとも病気なのか、その見分け方はあるか、中が黒くても食べられるかなどについて、もう少し詳しくご紹介していきます。
人参の見分けも簡単にできて、食べられるかどうか悩むこともなくなると思いますので、ぜひチェックしてみてください。
人参の黒い斑点はカビ?それとも病気?
人参の黒い斑点や線は、カビでも病気でもないものもあります。
しかし、カビや病気が原因で黒くなることもありますので、調理する前によく見
分けることが大切です。
人参の変色の原因
人参の変色の原因は、ポリフェノールの酸化、軟腐病、カビの発生の3つが考えられます。
それぞれの原因について詳しく見ていきます。
ポリフェノールの酸化
ポリフェノールは抗酸化物質の一つで、酸化に対抗して活性酸素と戦ってくれる天然の色素成分です。
また人参にはオキシターゼという酸化酵素も含まれていて、人参の細胞内に、ポリフェノールとオキシターゼは別々に存在しているそうです。
人参は表面に収穫時や出荷の際にできた目に見えない傷から、水分が蒸発することで乾燥します。
この乾燥や傷などがもとで、空気に触れて空気中の酸素とポリフェノールが、オキシタ―ゼの働きで結びつきます。
このことがポリフェノールの変色につながり、人参に黒い斑点が発生します。
カットしたりんごをしばらくそのまま置いておくと、茶色っぽくなるのと同じ原理です。
軟腐病
軟腐病は、土中の細菌が野菜の傷口から入り込んで繁殖し、養分や水分の通り道を塞いでしまうために、地上部分はしおれ、地(じ)際(ぎわ)部分は腐る病気です。
人参の場合は、ヘタの部分から黒く変色して、全体に広がっていくそうです。
軟腐病になると、人参は黒く変色するだけでなく、柔らかくなったり、腐敗したような異臭がしたりします。
カビの発生
人参の黒い斑点は、カビが増殖して出てしまうこともあります。
黒いカビは、先ほどの軟腐病が原因の他に、保存の仕方が良くない、表面の傷からカビ菌に感染して発生するなどが考えられます。
私は、人参をカレーやシチュー、汁物、煮物、炒め物、鍋物、サラダなどによく使うので、買って来た人参が傷む前に使い切ることが多いです。
しかし、以前買い置きしてあるのを忘れて3本セットの人参を買ってきてしまい、人参に黒い斑点ができたり、しなびたりしたことがありました。
黒い斑点の所を厚めに剥いたり、しばらく水に浸しておいたりして煮物に使いましたが、いつもと変わらずに食べることができました。
病気やカビの見分け方
人参の黒く変色した部分が、病気やカビなのか見分け方の目安をご紹介します。
軟腐病の見分け方
人参に下記のような状態が見られたなら、軟腐病にかかっていることが考えられます。
- 黒いシミのような変色が、広い範囲に見られる
- 人参の表面が柔らかくなっている
- 腐敗したような臭いがする
カビの見分け方
人参が下記のような状態になったら、カビが発生している可能性があります。
- 黒く変色した部分が、へこんだり膨らんだりしている
- 人参の表面がすす状に黒ずんでいる
- 人参の中がどろどろしたりぷよぷよしたりしている
- 触るとぬるぬるしていて、洗っても落ちない
- 強い異臭を放っている
人参の黒い斑点は食べられる?
人参の黒い斑点は食べられるかどうかは、その原因によって異なりますので、原因ごとにお伝えします。
ポリフェノールの酸化による黒い斑点
ポリフェノールの酸化が原因で黒い斑点がある人参は、食べることができます。
黒い部分の皮を厚めに剥けば食べることができます。
ポリフェノールの酸化によるものかどうか、上記の病気やカビの見分け方を参考に、しっかりと確認することが大事です。
酸化により黒くなっている場合は、表面だけが劣化しているので中身は変化なく固いままの場合が多いので、そこも見分けるポイントになります。
ただ、ポリフェノールの酸化が原因の場合も、味が落ちていることもあるので、生よりは加熱調理して食べるとよいでしょう。
軟腐病による黒い斑点
軟腐病によって黒い斑点が出た人参は食べることができません。
その部分を取り除けば食べることができるという意見もありますが、傷みが始まっていてその進行が速いので、無理をして食べない方が良いでしょう。
食べる場合は、傷みの具合を良くチェックして、自己責任で食べてください。
カビの発生による黒い斑点
黒いカビの菌は、根を深くまで張って内部まで潜って侵入します。
表面をきれいにしても黒いカビの菌は残っていることがあるので、カビに気づいたら食べることは止めましょう。
カビはヘタの部分にも生えやすいので、人参の身だけでなくヘタの近辺もよく見て、1か所でもカビが生えていたら、処分しましょう。
中が黒い場合は?
カットした人参の中が黒くなっていることがありますが、中が黒くなっているだけならば食べることができます。
人参が固くて、臭いや感触などに特に変わった様子が見られなければ、ポリフェノールの成分が変化したと考えられるので、その部分を取り除けば大丈夫でしょう。
しかし、味は落ちていることが多いので、カレーやシチュー、煮物などの加熱料理にして食べるのがおすすめです。
人参の長持ちする保存方法
人参を長持ちさせる保存方法は、丸ごと冷蔵保存、生のままで冷凍保存、茹でてから冷凍保存、調理後に冷凍保存の4つの方法があります。
人参は、日持ちするイメージが強い野菜ですが、乾燥に弱いのでしなびやすかったり、人参から出る水分で傷んでしまったりします。
しかし、ちょっとしたひと手間で人参の美味しさをより長く持続させることができるので、その方法をお伝えします。
丸ごと冷蔵保存(保存の目安:3週間~1ヶ月程)
- 買って来た時のビニール袋から取り出し、人参をよく洗って水気を拭き取る
- 1本ずつキッチンペーパーや新聞紙で包んで、ポリ袋に入れる
- 冷蔵庫の野菜室で、ペットボトルや牛乳パックなどの空き容器に立てて保存する
野菜は、畑で栽培されている時と同じ姿勢で保存すると長持ちすると言われています。
人参から出る水分で濡れてしまうので、2~3日おきにキッチンペーパーや新聞紙を新しいものと交換しましょう。
こうすることで、人参を乾燥や湿気から守り、長持ちさせることができます。
実際に私もキッチンペーパーに包んで立てて保存してみました。
数日してキッチンペーパーを交換したり、料理に使ったりした時の人参は、買って来た時と大きな違いはなく新鮮な状態のままでした。
また野菜室の整頓がしやすく、使う時も取り出しやすかったです。
生のままで冷凍保存(保存の目安:1ヶ月程)
- 料理する時に使いやすいように、皮を剥いて、輪切り、短冊切り、乱切り、いちょう切り、千切りなど好みの形に切って、水気を拭き取る
- 凍りやすくするため、冷凍用保存袋に重ならないようにできるだけ平らに入れて、空気を抜く
- 金属トレイに乗せて冷凍庫へ入れる
冷凍した人参は解凍せずに凍ったまま料理に使えますが、一度冷凍すると食感が変わるので、しっかりと加熱する料理に使うとよいでしょう。
茹でてから冷凍保存(保存の目安:1ヶ月程)
- 皮を剥いて、輪切り、短冊切り、乱切り、いちょう切り、千切りなど好みの形に切る
- サッと固茹でしてザルに上げて、粗熱をとる
- 水分をよく拭き取って、冷凍用保存袋に重ならないようにできるだけ平らに入れて、空気を抜く
- 金属トレイに乗せて冷凍庫へ入れる
人参の歯ごたえや食感を保つためにも、茹ですぎには注意しましょう。
茹で時間の目安は
- 千切り:10秒程
- 短冊切り:30秒程
- 乱切り:1分程
です。
調理後に冷凍(保存の目安:2週間程)
- 人参を使って好みの料理を作る
- しっかりと冷ましたら、小分けにする
- 冷凍用保存袋に入れて空気を抜く
- 金属トレイに乗せて冷凍庫へ入れる
食感の変化が少なくて済むように、千切りや薄切りの料理がおすすめです。
お弁当用カップに入れて冷凍したり、おかず用に1食分ずつラップで包んだりすると便利です。
まとめ
人参の黒い斑点や線はカビそれとも病気なのか、見分け方はあるか、中が黒くても食べられるかなどについてお伝えしました。
- 人参の黒い斑点や線は、カビでも病気でもないものもあります。しかし、カビや病気が原因で黒くなることもあるので、よく見分けることが大切です。
- 見分け方は、黒い斑点の範囲や触ってみた感触、臭いなどでカビや病気が原因であるかどうかが分かります。
- 人参の黒い斑点は、ポリフェノールの酸化が原因のものであれば食べられます。
- 人参の中が黒くなっていても、感触や匂いに異常がなければポリフェノールの変色が原因と思われるので食べられるでしょう。
人参は秋から冬にかけて旬になり、緑黄色野菜の中でも王様と言われるほど多くの栄養素が含まれています。
特に人参はβカロチンが豊富で、活性酸素の抑制や除去、抗酸化作用の発揮などの効果があります。
身体の衰えや老化の促進を小さくすることができると言われていますので、毎日摂りたい栄養素です。
人参は冷凍や加熱で栄養が壊れにくい食品なので、食べられる人参かどうかをよく見分けて、美味しく健康的な食生活に、より多く摂り入れてほしいです。
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